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社会・文化

「農業政策の憲法」基本法改正の腐臭

保護農政「回帰」へ族議員の妄動

2023年5月号

 新型コロナ禍やウクライナ戦争を受けて食料安全保障への関心が高まり、農林水産省は「農業政策の憲法」とも呼ばれる食料・農業・農村基本法の改正に向けた作業を進めている。しかし、その議論は迷走して盛り上がらず、国民不在のまま保護農政への先祖返りという結末を迎えそうだ。
 基本法の改正は、自民党主導で始まった。二〇二二年二月二十四日に党内に食料安全保障に関する検討委員会(委員長・森山裕元農相)を設置、十一月末に政務調査会が「食料安全保障強化政策大綱」の策定と「基本法の見直し」を提言した。
 政府は、十二月二十七日に食料安保強化政策大綱を決定し、岸田文雄首相が野村哲郎農相に対して「二〇二三度中に基本法改正案を国会に提出することを視野に、六月をめどに食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめるよう」指示した。
 農水省は食料・農業・農村政策審議会に基本法検証部会(部会長・中嶋康博東京大学大学院農学生命科学研究科教授)を設置し、今年四月末までに十四回も会合を開きヒアリングや意見交換を重ねた。しかし、これまでの農業政策の自己否定に直結する「検証」に対して当事者の農水・・・