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政治

LGBT法案騒動の「幼稚性」

反対も賛成も「低次元」な議論

2023年6月号

 オトコか、オンナか、その両方か、どれでもないか、その他か。今や性別を巡る文明の「進化」は世界中で爛熟を極めている。日本も例外ではあり得ないが、政治がうまく対処できていない。
 偏見や差別を訴える性的少数者に関する「LGBT理解増進法案」は、主要七カ国首脳会議(G7広島サミット)開幕前日の五月十八日、自民、公明両党が、保守層に配慮した修正案をドタバタでまとめ、駆け込みで衆院に提出した。
 日本はG7の中で性的少数者についての法整備が「一番遅れている」とされる。サミットの首脳宣言には「すべての人々が性自認や性表現、性的指向に関係なく暴力や差別から解放された生活を享受できる社会を実現する」と明記されていた。修正案が、議長国としての体面を取りつくろうアリバイづくりだったのは疑いない。
 だが、実際は自民党内での合意もできていない。国会提出を急ぐ執行部に対し、法制化に慎重だった故安倍晋三元首相を偶像視する保守派議員たちは「差別の定義があいまいで、社会に混乱をもたらす」と声高に反発。法案が提出された後も「反対多数だったのに強引に決めた。おかしい」と抵抗の構えを崩して・・・

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