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政治

維新・馬場代表「天下取り」の皮算用

「解散断念」で一番得した男

2023年7月号

 後世の史家は、首相・岸田文雄が「六月解散」を断念した結果、自公連立政権は崩壊し、棚ぼたで日本維新の会代表・馬場伸幸が天下を取った、と書き記すかもしれない。
 立憲民主党の人気が低迷し、四月の統一地方選で伸長した維新が選挙態勢を整える前に衆院を解散、国民に信を問うという「六月解散」戦略は、理にかなっていた。だが、肝心の岸田に「郵政解散」を決断した小泉純一郎のような蛮勇がなかった。
 維新幹部は「もし六月に解散されていたら衆院選の候補者は、百二十人から百三十人の間にとどまっていただろう」と明かす。
 現に六月二十五日現在、維新が衆院選候補者として正式に決めたのは八十五人に過ぎない。小選挙区は全国で二百八十九あり、「六月解散」が断行されていれば、維新が候補者を擁立できた選挙区は、多くても全体の四割強にとどまったはず。
 地方組織も岩手や鹿児島など十県は空白で、代表の馬場が呼号する「次期衆院選で野党第一党になる」という「公約」実現は、立憲民主党が大敗しない限り、無理だった。
 ところが、岸田が衆院解散を秋の臨時国会以降に先送りしたため、状況は・・・

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