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経済

《クローズ・アップ》堀江 正博(東急新社長)

「東急不動産」をどう始末するか

2023年7月号

 東急グループの持ち株会社である東急の新社長に堀江正博氏(六十一歳)が就任した。
 東急は祖業である東急電鉄を一〇〇%子会社として持つほか、流通、建設、ホテル、不動産など孫会社まで含めると二百三十二社を束ねる中核企業。鉄道など交通事業の比率は低下し、不動産開発が営業利益の過半を生み出す企業に転換している。
 堀江新社長も鉄道事業の経験はなく、国内外の不動産開発を一貫して歩んできた。前任の髙橋和夫副会長(六十六歳)が東急バスなど交通事業畑だったのと対照的で、田園都市開発など不動産畑一筋の野本弘文会長(七十五歳)に近いキャリア。
 東急電鉄の売上高、利益はコロナ禍で大きく落ち込み、コロナ後も回復は遅い。リモートワークやオフィスの都心離れで通勤需要の回復はもはや望めない。相互乗り入れなど新線開業は進んだが、乗客の利便性は高まっても、利益には直結せず、鉄道部門はドル箱から重荷に変わりつつある。
 一方、東急は渋谷駅周辺の総合開発を進め、従来の沿線の住宅地開発から都心型不動産デベロッパーへの転換が加速している。四月に東京・新宿歌舞伎町に開業した四十八階建て・・・

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