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経済

《地方金融の研究》大分銀行

預貸率「六割以下」で抱えた爆弾

2023年7月号

 九州のシリコンバレーバンク(SVB)―。口さがない地銀関係者の間ではこう取り沙汰されているとか。大分市に本店を置く域内トップバンク、大分銀行のことだ。
 今年三月に経営破綻した米国中堅地銀のSVB。世界の金融・銀行システムを揺さぶったその破局は、集まった預金の貸出先がなく有価証券運用を膨らませていたところに米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げが進行。保有有価証券に多額の損失が生じて信用が毀損。預金の流出を招いて資金繰りに行き詰まったのが一因だとされている。大分銀の資産・負債構造や資金運用の実態も何やらSVBと「共通の臭いがする」(事情通)というわけだ。
 何しろ預金残高に占める貸出金残高の割合を示す預貸率は二〇二三年三月末時点で五九・〇%と六割未満。九州・沖縄地区を地盤とする地銀二十行中、預貸率が六〇%に到達していないのは同行だけだ。
 全国地方銀行協会が六月中旬にまとめた加盟六十二行、いわゆる「第一地銀」の二三年三月期決算概要によると期末の総預金は三百二十兆円余。これに対する総貸出は二百三十九兆円弱で、預貸率は約七四%。それを十五ポイントも・・・

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