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経済

コスモ石油「買収防衛策」への疑念

村上ファンドの「反撃」が始まる

2023年7月号

 株主平等を原則とする資本の論理か、それとも、少数株主保護を名目とする経営の正当性か。
 六月二十二日に開かれた石油元売り大手、コスモエネルギーホールディングスの株主総会―。同社経営陣と、筆頭株主である旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンスの間で争われた二つの主張に対し、総会は経営陣を支持する結果に終わった。
 シティが掲げた風力発電子会社の上場検討、社外取締役一人の派遣などの提案はすべて否決され、逆にシティが「強圧性」を伴う株式買い増しに乗り出した場合、コスモ経営陣による買収防衛策の発動が承認された。シティの完敗と言っていい。コスモからは事前に自信の声が漏れていた。
「取引先や銀行、保険などの機関投資家はわが社の主張を理解してくれた。過半の株主は買収防衛策を支持する」
 いや、それは過半の株主の意思とは言えないだろう。実は今回の買収防衛策の発動は極めて異例の形で承認されたのである。
 マジョリティ・オブ・マイノリティ(MoM)決議―。「少数株主の過半数支持」を意味するこの決議は、大株主である買収者と対立する経営陣、い・・・

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