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WORLD

《 世界のキーパーソン》チャールズ・Q・ブラウン(米空軍参謀総長)

黒人で二人目「米軍トップ」の候補

2023年6月号

 米軍の制服組トップ、統合参謀本部議長に黒人が起用されたのは、コリン・パウエルが初めてだった。パウエルは湾岸戦争で、短時間でクウェートを占領していたイラク軍を破り、世界中に名を知られることになった。その後、ジョージ・ブッシュ(子)政権の国務長官となり、今度は二〇〇三年のイラク戦争で外交戦を指揮した。
 伝説的な先駆者のおかげで、ジョー・バイデン大統領が「次の議長」としてブラウンを指名した時には、ワシントンではそれほどの驚きはなかった。だが、初代のオマー・ブラッドレー以降、現在のマーク・A・ミリーまで二十人の議長が誕生した中で、黒人はパウエルだけだ。米上院で承認されれば、三十年ぶりとなる。
 一方で、黒人は米軍の中で大きな役割を占めている。現役の軍人に占める割合は、白人(ヒスパニックを除く)五四%に対し、黒人は二〇%を占める。全米の人口比(黒人は約一二%)に比べると、黒人の割合はかなり高い。
 ところが、階級が上がるほど、黒人の比率は減っていく。将軍の割合は六・五%だ。「米軍内の人種差別」は、歴代の米政府がなかなか克服できなかった課題だ。
 ブラウ・・・

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