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プーチンを手玉に取るイラン

零落ロシアに「強請りタカリ」

2023年8月号

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、イランの宗教指導者たちに頭が上がらない状態だ。昨年始めたウクライナ侵攻では、攻撃用ドローンを多数提供してもらうなど、ロシアのイラン依存が強まっている。
 プーチン大統領は今年、ロシアからイランまでを鉄道で結ぶ「国際南北輸送回廊」の建設を約束した。数千億円規模になる難工事の費用については、ロシアからイランへの融資でまかなうという大盤振る舞いだ。
 イランが借金を返済する見込みは全くなく、事実上ロシアの持ち出しだ。金欠のイラン指導部は「もっとロシアから引き出すネタはないか」と、虎視眈々と次なる機会をうかがっている。

ロシアのカネで鉄道建設

 ロシアとインド洋を結ぶユーラシア大陸縦断構想は、ソ連時代から存在した。カザフスタンなど中央アジア諸国を経由するルートや、カスピ海を使うルート、コーカサス地方を経由するルートなど、さまざまな案が検討された。
 ロシアが今回、イランとの間で合意したのは、コーカサス経由ルートの建設支援だ。
 アゼルバ・・・

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