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経済

仕組債「訴訟ラッシュ」が始まる

全国の地銀が騙した被害者の反撃

2023年8月号

「ばくち」と言ってもいい仕組債をめぐり、証券取引等監視委員会による検査で、千葉銀行と傘下のちば銀証券、武蔵野銀行による仕組債乱売の実態が明らかになった。それは氷山の一角に過ぎない。全国の地銀グループでも、十分な説明をしないまま売りまくった問題が噴出している。いま、仕組債で損失を被った個人投資家からの相談が各地の法律事務所に相次いで寄せられているのだ。今後、売り手の法的責任を問い、訴訟ラッシュとなってもおかしくない事態である。
 とにかく、地銀業界の仕組債販売は凄まじかった。各地で銀行の信用力を武器にして顧客に仕組債を売り込んでいた。地銀関係者の間でしばしば、話題になっていた地域が岐阜県である。
 同県では十六銀行、大垣共立銀行という二つの地銀が激しい競争を繰り広げてきたことで知られているが、仕組債販売の面でもそうだった。十六銀行は東海東京証券との合弁証券子会社を中核にして、東海東京証券が提供する仕組債を積極販売した。大垣共立銀行は一〇〇%子会社の証券会社社長に大和証券の役員経験者を招いて、仕組債を売りさばいた。近県地銀幹部が「仕組債販売のホットゾーン」と指摘するほど・・・

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