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経済

米経済「軟着陸」はない

株式市場「宴の終わり」は遠からず

2023年8月号

「ソフティッシュ・ランディングに向けて確かな道筋は数多くある」。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は昨年五月、「ソフティッシュ(やや軟らかい)」という曖昧な形容詞を繰り返し述べ、「ソフトは無理か」と市場関係者の失笑を誘った。軟着陸へ期待は大きいがその指標となるインフレ率二%は近いようで遠い。米経済はまだ危うさを孕んでいる。
 二〇二二年六月に前年同月比九・一%まで上昇してピークを付けた消費者物価指数(CPI)は、今年六月の同三・〇%まで順調に低下してきた。一年前の大勢の予想を超えてインフレ目標の「二%以下」が視界に入ってきた。
 同議長の言った「軟着陸らしきもの」がまずまず成功したことは、誰の目にも明らかだ。
 株式市場では連日の「軟着陸祭り」だ。史上最高の議長との呼び声まで出てきた。
 軟着陸の定義はあいまいだが、パウエル議長の言葉を借りれば「労働市場を堅調に保ちながらインフレ率を二%に戻すこと」。労働市場は驚異的に堅調だが、インフレ率二%は近いようで遠い。 
 六月CPI上昇率の結果は言うまでもなく「高ベース効果(比較対象・・・

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