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経済

ニデック永守「敵対的買収」の成否

「剛腕vs田舎企業」攻防戦の見所

2023年8月号

「永守は正気か。本当にこんなことをやってくるとは」。ある中堅工作機械メーカーの首脳は七月十三日、ニュース速報をみて絶句した。そのニュースは、永守重信・会長兼CEO(最高経営責任者)率いるニデックが、東証スタンダード市場に上場する岡山の工作機械メーカー、TAKISAWAに対して「同意なき」買収提案を仕掛けたというものだった。
 その一週間後、ニデックが四半期決算に合わせて開いた記者会見で、永守氏は怪気炎を上げた。「こんなに工作機械はもうかるんか」「(工作機械は)赤字会社を買ってもあっという間に利益を出せる。日本特有の販売方法を変えれば高収益が出せる。(工作機械で)世界トップになるのは難しくない」。
 工作機械業界の重鎮たちからすると、これまでの自分たちのやり方を馬鹿にされたのも同然。前出のメーカー首脳も、永守発言を聞いて「ふざけるな」と怒り狂った。
 そもそも「工作機械は日本の産業界の中でも旧態依然とした古くさい業界」(全国紙経済部記者)の一つ。これまで国内三強とされてきたヤマザキマザック(非上場)とオークマはともに愛知県丹羽郡、DMG森精機は東京だけでなく・・・

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