三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《地方金融の研究》青森県信用組合

商工中金絡みで被った「大損失」

2023年8月号

「一杯食わされたというか、何やら騙されたような気分だ」。青森市に本店を置く青森県信用組合の関係者が商工中金(商工組合中央金庫)への怒りと不満をこうぶつける。
 無理もあるまい。商工中金がアレンジャー(主幹事)となって組成されたシンジケートローン(協調融資)。その口車に乗る形でそれに参加した挙げ句、今年六月下旬、融資を取り込んだ対象先企業が経営破綻。多額の焦げ付きが生じる公算が大きくなっているからだ。
 事は約二年半前の二〇二一年三月二十二日に遡る。この日、商工中金から報道機関向けに一通のニュースリリースが放出された。タイトルは「民間金融機関と協調して、地域密着型スーパーマーケット(の運営会社)に対し、総額二十七億円のシンジケートローンを組成」―。半官半民の商工中金。かねて民業圧迫が批判の的になってきたが、そんなことはない。ちゃんと「民」とも連携して地域経済の活性化にも貢献していると訴求したかったわけだ。
 協調融資は八・五億円のコミットメントラインの設定と十八・五億円のタームローンからなり、コ・アレンジャーとしてみずほ銀行とみちのく銀行も参画。さらに地元三・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます