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《 世界のキーパーソン》 マナセ・ソガバレ(ソロモン諸島首相)

島国を「親中」一色に染める愚行

2023年8月号

 今から三千二百年ほど前のこと。古代イスラエル王国のソロモン王の夢枕に、神が立った。「何でも欲しいものを与えよう」と神が言うと、王は「知恵が欲しい」と願った。神はたいそう喜び、望みをかなえた。「ソロモン」という名は以後、知恵の代名詞となった。
 彼はまた、指輪をはめて、動物や植物と対話することもできた。金をはじめとした多くの財宝を持ち、シバの女王の心を奪った。富や金の代名詞にもなった。
 時が下って、十六世紀の大航海時代のことだ。スペイン人航海者がここにたどり着き、砂金を見つけた。これこそ、ソロモン王の財宝だと信じたことが、「ソロモン諸島」の名の由来だ。十九世紀に英国の植民地になった。
 日本では、第二次世界大戦の悲劇で知られる。諸島の中心であるガダルカナル島は、ここを占領した日本軍と連合軍の壮絶な戦いの場となった。兵站尽きた日本軍に多数の餓死者が出たため、「ガ島」は「餓島」とも呼ばれた。
 今日のソロモン諸島は、百あまりの島に約七十万人が住む。ガダルカナル島にあるホニアラが首都だ。独立後に台湾(中華民国)と国交を樹立したことで、南太平洋の島国は・・・

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