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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》マイナンバーと富士通

欠陥システムで「ぼろ儲け」の背徳

2023年8月号

 かつて「ナンバーワン」ともてはやされた日本のビジネスモデルが「ガラパゴス」と揶揄されるようになったのは、成功体験にしがみつき、若く新しい力を生かせず、融通の利かない時代遅れの仕組みを固定化したためだ。今また、政府の大号令で進むデジタル変革の取り組みのど真ん中に、同じ構造にはまったIT企業が居座っている。行政システムの多くを構築し、保安を担う富士通である。
 同社はITベンダーとしての能力に重大な欠陥があるにもかかわらず、マイナンバー制度システム構築の枢要な部分を担い、今後も継続的に血税をしゃぶる算段をつけている。

十五年前の老朽システムが「元凶」

 富士通の構造的問題を改めて露見させたのは、マイナンバーカード(マイナカード)騒動だ。
 政府は、全国民に割り振ったマイナンバーを健康保険証や銀行口座などに紐付けたマイナカードを使うことで、デジタル変革を一気に進めようとしている。ところが、マイナカードを使ってコンビニエンスストアで住民票を取ろうとしたところ、別人のものが交付されたり、マイナンバ・・・

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