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湾岸アラブと中央アジアが急接近

旧属国の「ロシア離れ」が加速

2023年9月号

 中央アジア五カ国が、ロシア離れの独自外交を進めている。今夏には、五カ国首脳がそろって、アラブ産油国の首脳たちと大掛かりなサミットを行ったほか、米国や欧州連合(EU)、中国との関係強化も、様々な形で進めている。サウジアラビアを筆頭とするアラブ諸国は「好機到来」と見て経済進出を強め、「新シルクロード」の主役に躍り出ようとしている。
「新時代到来」を印象付けたのは、五カ国首脳とアラブ六カ国首脳のそろい踏みだった。七月中旬、サウジアラビアのジェッダで、高級スーツ姿の五人と、アラブ伝統服姿の六人が並んで集合写真におさまった。中央アジア諸国は、「政教分離」が大原則なので、指導者たちはこれが正装である。
「アラブ側は、ホスト役のムハンマド・サウジアラビア皇太子ら、外交舞台慣れした国際問題通ぞろい。中央アジア側は少々ぎこちなく、バラバラな印象があった」と、在中東外交筋は言う。
 中央アジア五カ国の首脳は、ソ連時代の影を引きずっている。カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジョエフ両大統領は、ソ連の官僚・経済機構からのしあがった。話す言・・・

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