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南アジアに「選挙の季節」到来

「中国か米国か」十八億人の選択

2023年9月号

 南アジアのインド、パキスタン、バングラデシュ、モルジブの四カ国が、向こう九カ月ほどの間に、次々と重要な選挙を迎える。いずれも目下、現与党または現職の優位が伝えられるが、対中・対米関係や気候変動対策など争点満載で、インド太平洋地域の国際関係にも大きな影響をもたらす。人口合計が十八億人超の四カ国は、「選挙の季節」にどう動くのか。
 四カ国はいずれも旧英国植民地で、現在は英連邦加盟国だ。モルジブ以外は、英国の議院内閣制をモデルとし、議会多数派が政権を担う仕組みである。九月九日にモルジブ大統領選が行われ、バングラデシュ総選挙は来年一月の見通し。来年四~五月にはインド総選挙が行われる。
 パキスタンは八月に国民議会(下院)が解散した。憲法の規定では十一月上旬までに選挙が行われなければならない。ただし、選挙実施の基礎となる国勢調査が「間に合っていない」(パキスタン政府)との理由から、来年前半にずれ込むことが確実な情勢だ。

モディ優勢は変わらず

 有権者の審判に臨む四カ国の指導者のうち、インドのナレン・・・

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