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日韓は「同盟」になれるのか

安保強化を阻む幼稚な「国民感情」

2023年9月号

 左右に岸田文雄首相と尹錫悦韓国大統領を従え、バイデン米大統領のほおは紅潮していた。自らが副大統領を務めたオバマ政権時代からの悲願だった、日米韓の安全保障体制の強化に手応えを感じたからだろう。
 米メリーランド州、キャンプ・デービッドで八月に開かれた日米韓首脳会談は、今後年一回以上の首脳会談定例化や三カ国間のホットライン設置などで合意した。関係政府筋は「日米、米韓は同盟関係だが、日韓には何もなかった。今後、日韓の安保協力が進むのではないか」と期待感を込めて語る。
 戦後、日本の植民地支配に対する強い反発から、韓国は日本との安保協力を拒んできた。安全保障上の唯一の取り決めは、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)くらいだが、これも文在寅政権時代に破棄騒動が起きた。
 日本政府関係者の一人は「日韓の安保協力を豪州並みに格上げする必要がある」と語る。日本は豪州との間でGSOMIAのほか、物品役務相互提供協定(ACSA)、日豪両軍の相互往来円滑化協定(RAA)を結んでいる。
 日本政府は李明博政権(二〇〇八~一三年)当時、GSOMIAとACSAのセッ・・・

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