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中国経済はどこまで堕ちるか

習近平政権で回復はない

2023年9月号

 中国経済が世界の想像を遙かに超えたスピードで悪化している。当初はアフターコロナの立ち上がりのもたつきに見えたが、現実は不動産投資主導の高成長モデルの全面崩壊であり、米中冷戦の激化が招いた「外資の中国離れ」、少子高齢化と庶民の将来不安による需要縮小が重なった低成長へのハードランディングといっていい。原因は習近平政権の経済失政であり、主要国をすべて敵に回してしまった外交戦略の破綻である。世界は「中国経済のピークアウト」を目撃しているのであり、中国需要の剥落、中国発金融危機、デフレ輸出などが世界を襲うリスクが高まっている。
 エバーグランデに始まり、カントリーガーデン、サナック、ワンダ、ロンフォーなど聞き慣れない中国の不動産企業の英語名が、主要国の経済ニュースのヘッドラインに連日並ぶ異様な状況となった。これまで幾度となく、崩壊の瀬戸際に立ちながら政府のケタ違いの財政出動と「下がれば買う」「共産党が対策を打つはず」という根拠なき賭博的投資によって回復を遂げた中国不動産市場も経済合理性の世界に入った。価格の適正化、オフィスビルなど余剰物件の淘汰がこれから本格化し、不動産価格は相場崩落・・・

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