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連載

現代史の言霊  第65話

ロシア軍のポーランド「完全撤退」 (一九九三年)
伊熊 幹雄

2023年9月号

暴力とウソ、無法の体制は敗北した

レフ・ワレサ(ポーランド元大統領)


 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が昨年二月、ウクライナ侵攻を開始して以降、この人物の特異な歴史観が注目されてきた。特にポーランドについての発言は、彼の歴史観がいかに危険なものであるかを、世界中に印象付けた。
 今年七月には、一九四五年にポーランドが独立を回復したのは、「大部分がソ連のおかげによるものだ」と語った。さらに「今日のポーランドの西部領土は、スターリンからポーランド人への贈り物だ」と言い放った。
 プーチンの腰巾着、アレクサンドル・ルカシェンコ・ベラルーシ大統領は、さらに悪乗りをした。
 ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が、「西に行きたがっている。(ポーランドの首都)ワルシャワ、ジェシュフが目的地だ」と述べて、ワグネルがポーランド侵攻する可能性を示唆した。
 ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であり、もしロシアの戦争をもちこむ事態になれば、集団的自衛権の発動につながりかねな・・・

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