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経済

「中間貯蔵施設」関西電力の高笑い

上関町を明け渡す中国電力

2023年9月号

“恩讐の彼方”に光明はあるのか―。電力各社からは中国電力への同情が聞こえる。
「前社長の瀧本さんの胸中は複雑に違いない。地元も同じだ」
 山口県上関町は八月十八日、中国電から提案されていた、使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」建設に向けた調査の受け入れを表明した。町長・西哲夫が同日の町議会に諮り、七人の議員の意見を聞いたうえ、採決を取らず、自らの判断で最終決定した。
 同町は中国電の上関原発の建設をめぐり四十一年間、推進・反対の対立を繰り返してきた自治体である。その間に人口は二千三百人と三分の一へ減少した。町の財政は厳しい。中間貯蔵を受け入れれば、調査段階で年一・四億円、建設同意後は年九・八億円の原発関連交付金が入る。しかし、竣工の暁に初搬入されるのはおそらく中国電の使用済み核燃料ではない。関西電力のそれだろう。この案件は関電との共同事業なのだ。
「なぜ関電のために!」という反発は地元の反対派住民だけでなく、中国電社内にも燻ぶる。無理もない。中国電は関電を主犯とする電力販売のカルテルに絡み、七百七億円の課徴金納付命令を受けた。・・・