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プーチン「暗殺の代償」

プリゴジン消去後の百鬼夜行

2023年9月号特別リポート

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の体制に反乱を挑んだ、民間軍事会社「ワグネル」のエフゲニー・プリゴジン氏が八月二十三日、航空機の墜落によって死亡した。プーチン大統領は翌日のテレビ演説で、「彼はいくつかの過ちを犯した」と語り、その過ちゆえに死を迎えたことを暗示した。
 クレムリンは公には強く否定しているが、プリゴジン氏の死がロシア当局による殺害だったとの疑いは極めて濃厚である。
「プリゴジン排除(=処刑)」により、今春から続いたロシア社会の動揺は、恐怖政治の強化にとって代わられるだろう。だがそれは、ロシアの活力を一段と弱め、やがて新たな不満の暴発へとつながる、危険な衰弱への道だ。

詳細不明な「飛ぶ直前の修理」

 墜落した航空機は、ブラジル製のエンブラエル・レガシー600型機。この航空機は、二〇〇〇年に開発された。以後二十年以上、同型機の欠陥や深刻な不具合による事故は、伝えられていない。標準の飛行では、乗組員三人、乗客十数人が搭乗可能である。
 ワグネル社は墜落した飛行機を一八・・・

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