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ブラジル混迷 「ルラ復帰」の実相

汚職大統領「大衆迎合」が加速

2023年10月号

「大統領の座に戻れたのは、ひとえに民主主義のおかげだ。希望は今一度、恐怖に打ち勝った」
 ニューヨークで九月に行われた国連総会一般討論演説。ブラジルの大統領ルラは、久しぶりの国際舞台で高らかに復帰を宣言した。貧しい農村で生まれ労働組合のリーダーとして頭角を現した庶民のホープ。かつてはオバマ米元大統領と並ぶ「世界で最も人気のある政治家」に数えられたが、再選後の支持率が低迷している。その「正体」が国民に見透かされたようだ。
 ルラは昨年十月、現職だった極右のボルソナロを僅差で下し、十二年ぶりに権力の座に就いた。
 暴言癖や露悪趣味が悪目立ちしたボルソナロと違いルラは正義の味方、労働者の英雄として語られがちだ。
 だが、実際はボルソナロ以上のポピュリスト(大衆迎合主義者)で、特に外国企業や経済界からは、国有企業の肥大化やバラマキ政策、労働者側に偏った政策などが不安視されている。放言癖や不可解な司法との関係など、火種も多い。
 前回の任期終了間際の支持率は八割に上ったが、現在の支持率は見る影もない。最大手調査会社ダッタフォリャの九月の世論調査に・・・

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