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親中露「ローマ教皇」は大丈夫か

バチカン外交に不安なウクライナ

2023年10月号

 ロシアのウクライナ侵攻を巡るローマ教皇フランシスコの発言が度々波紋を広げている。歴史的な帝国の賛美ともいえそうな思想も見え隠れし、欧米が対峙する「専制主義」のロシアや中国を重視する姿勢も目立つ。バチカン外交はウクライナを支援する欧米よりも「グローバルサウス」に近い。
「あなた方は偉大なロシアの聖人たちやピョートル一世、エカテリーナ二世といった支配者の継承者であることを忘れてはなりません……偉大な母なるロシアの子孫として前進してください」
 これはロシア大統領ウラジーミル・プーチンの演説ではない。教皇フランシスコが八月二十五日にロシア第二の都市サンクトペテルブルクに集まった青年に向けてオンライン講話をした時に語った言葉だ。
 アルゼンチン出身の教皇は母語であるスペイン語で事前に用意された原稿を読んだ後、イタリア語に切り替え、即興で帝政ロシアと皇帝を称賛する発言をした。
 プーチンは歴史的にロシアが支配したウクライナをロシアと「一つの人々」として侵略を正当化し、十七~十八世紀にロシアを大国にしたピョートル大帝と自らをなぞ・・・

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