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台湾半導体「中国技術漏洩」の深謀

対中技術封鎖の意外な「穴」

2023年10月号

 米政府から厳しい技術封鎖を受け、最先端の製造設備・技術から原料まで入手困難に陥っているはずの中国半導体産業が想定外の技術進化を遂げ、米欧日、韓国などを驚かせた。華為技術(ファーウェイ)が九月三日に発売したスマートフォンの最新版に中国の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)が量産した回路線幅七ナノメートルのSoC(システムオンチップ)が搭載されていたからだ。中国の保有する装置・技術では十四ナノメートルより先端の半導体生産は不可能とされていた。謎の進化の背景には世界トップの技術を持つ台湾のTSMC出身者など、台湾関係者の支援があったとの見方が広がっている。
「サンプル出荷ならまだしも、量産品に搭載とは」。日本の半導体メーカーの関係者はファーウェイのスマホ新製品「Mate60 Pro」に組み込まれた最新のSoC「麒麟9000s」への驚きを隠さない。ファーウェイの半導体設計子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計、SMICに生産を委託したものだ。
 ファーウェイは二〇二〇年八月末まではTSMCに最重要の半導体生産を委託していたが、米バイデン政権が米国技術を利用し・・・

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