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外来生物被害「六十二兆円」の猛威

世界経済の甚大な「損失要因」

2023年10月号

 世界各地で外来種による動植物への被害が拡大している。農作物や海洋資源への被害だけでなく、居住環境の破壊や健康被害に及ぶケースもある。
 違法取引や密輸で持ちこまれた熱帯の動植物が地球温暖化による気候変動によって、新たに温帯に定着するようになったケースも多い。マラリアやデング熱など、本来は熱帯や亜熱帯に多い感染症が、外来種激増で温帯でも増えるといった、健康被害も懸念されている。
「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES=イプベス)」は今年九月、ドイツで会合を開き、「侵略的外来種とその管理に関するテーマ別評価」を公表した。
 それによると、外来種が世界経済にもたらす損害は、二〇一九年時点で四千二百三十億ドルに達したことが分かった。円換算で六十二兆円超という、巨額の被害である。
 これは累計額ではなく、毎年、これだけの損害が出ているのだ。

島国でも被害は免れない

 今年五月末、成田都市圏にある千葉県多古町の水田で、巨大なカメが見つかっ・・・

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