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経済

《地方金融の研究》千葉銀行

佐久間「引責辞任」で始まる漂流

2023年10月号

 親分―親愛と畏怖を込めて行内の一部からはこう呼ばれていたという。二〇〇九年から千葉銀行の頭取を務め、二一年後進にその座を譲った後も会長として同行に君臨してきた佐久間英利氏のことだ。
 その佐久間氏が千葉銀を去る。二四年三月末で会長を退任。同六月の定時株主総会で取締役からも外れる。佐久間氏は一二年と一七年の二度にわたり全国地方銀行協会の会長も歴任。千葉商工会議所会頭や県経済同友会代表幹事も兼務するなど地銀界や地元財界にとっても「重鎮」(県商議所連合会関係者)だ。今後こうした要職からも順次身を退くとみられているが、財界筋からは早くも「後継者が見当たらない」といった悲鳴が上がる。
 佐久間氏が辞任を余儀なくされたのは他でもない。仕組み債の不適切な販売だ。高い利回りを期待できる半面、元本毀損のリスクも飛び切り高く仕組みも複雑な金融商品。千葉銀はこれを傘下のちばぎん証券や包括提携先の武蔵野銀行と「三位一体」的に売り捌いていた。
 しかも標的となったのは大半が投資経験の少ない銀行顧客や金融知識の乏しい高齢者だったから堪らない。証券取引等監視委員会や証券界の業界団体で・・・

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