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《 世界のキーパーソン》 マテウシュ・モラビエツキ(ポーランド首相)

「血統書付き」のタフな闘士

2023年10月号

 隣国ウクライナがロシアの侵攻で苦しむ中、ポーランドが十月十五日、総選挙に臨む。与党「法と正義」の指導者は、ヤロスワフ・カチンスキだが、有権者に問われるのは、モラビエツキ首相の実績だ。二〇一七年から首相職にあるモラビエツキは、過去六年間の内政・外交実績を前面に打ち出して戦う。九月末までの世論調査を見る限り、与党優勢である。
 モラビエツキと政治との関わりは、「母親の胎内にいるときから始まった」としばしば表現される。
 父親コルネルは物理学の博士号を持つ学者だったが、反体制運動の指導者としての方がはるかに著名な存在だった。モラビエツキが生まれた一九六八年は、東欧圏だけでなく世界中で学生運動が拡大した年で、父親はデモやストの指揮で忙しい日々を送っていた。
 モラビエツキは物心がついた時から、父親の反体制活動(当時は共産主義政権)の手伝いを始めた。十二歳になる頃には、父親のビラ作り、反体制発行物の印刷作業、さらに地下ネットワークの連絡役を手伝っていた。
 治安当局は十代の時から、「コルネルの息子」としてマークを始めた。十代半ばにはたびたび拘束され、治安・・・

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