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日本経済新聞社の営業利益「前年比半減」で業界に衝撃

2023年10月号公開

 日本経済新聞社が自社の二〇二三年十二月期中間決算について、「連結増収減益」と報じたことが、メディア界隈で話題になっている。増収が強調された日経らしい見出しだが、「単体決算で見ると減収減益。しかも、売上高、営業利益、経常利益、中間純利益がすべて前年比マイナス」(大手紙記者)。本業の利益を示す単体での営業利益にいたっては、前年同期比四九・九%減で、「一年で利益が半分消えた形」(同前)だ。
 同社は電子版の有料会員が堅調に推移したことが増収の要因と自画自賛しているが、連結売上高は前年同期一千七百五十一億円が、今期は一千七百六十二億円。かろうじて〇・六%の増収であり、「日本を代表する経済紙が見出しに打つほど自慢できる数字ではない」(同前)という皮肉も聞こえてくる。しかも、連結利益に貢献しているのは実は「投資有価証券売却益」による約二十五億円で、純利益約五十八億円の半分弱をその特別利益が占める。単体でも同じく特別利益約十億円(前年は約八千万円)を計上している。
 日経は部数減が顕著で、日本ABC協会によれば上半期の平均販売部数が百五十万部割れ寸前まで追い込まれている。また昨年に続き、今年もすでに三十人程度、若手、中堅記者やエンジニアが退職。元パリ支局長やビジネスユニット財務担当キャップがシンクタンクへ移り、大手海運やブルームバーグへの転職組もいる。増収をアピールする前にやることがありそうだ。


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