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政治

「外交の岸田」 勘違いの暴走

支持率回復狙いで何をやるか

2023年11月号

 内政の迷走・ジリ貧・不人気と裏腹に、岸田文雄首相は外交に自信を持ち、アクセルをめいっぱい吹かせている。九月の内閣改造では林芳正氏から上川陽子氏への外相交代がサプライズの一つだった。「外交の継続性と言いながら、なぜ替える必要があったのか」。記者会見で問われた岸田氏の答えは気負っていた。「外交は首脳外交が大変大きなウェートを占める。私も長く外相を務めて痛感した。私自身これからも首脳外交に大きな役割を果たしていきたい。先頭に立って外交をリードしていきたい」。自分が続けることこそ継続性だと宣言したのだ。
 在任二年で、安倍晋三元首相の国葬儀外交、防衛費大幅増による日米同盟強化、日韓関係の改善、何より主要七カ国首脳会議(G7広島サミット)を成功させ、すでに成果を出したとの自負がある。ロシアのウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢の見通しは厳しいが、外交は政権浮揚を助ける得意分野だと信じている。

信条や個性は乏しい

 安倍元首相の下で四年半も外相を務めたが、実態は官邸主導で進む「安倍外交」の足を、外務省が・・・

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