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経済

全銀システム「事故頻発」の将来

パニックを生んだ富士通の大罪

2023年11月号

 三連休明けの十月十日、複数の銀行で振り込み業務がストップし、金融業界のみならず、社会を揺るがせた。五十年間にわたって堅牢さを誇ってきた「全銀システム」は今、転換点に立っている。今回の障害は、次なるトラブルの序章に過ぎない。金融機関のシステム構築について詳しいベンダー関係者はこう語る。
「現状、全銀協(全国銀行協会)やNTTデータの問題は指摘されているが、富士通の責任が見落とされている」
 システム業界では、大型汎用計算機(メインフレーム)事業を放棄する富士通を問題視する声が浮上している。銀行間決済という社会の最重要インフラの維持から逃げ出すことは、「営利企業だから」という理由で簡単に許されるものではない。トラブルを起こした全銀協のシステムについて、某銀行幹部はこう指摘する。
「二〇二七年に新システム稼働を予定しているが、あまりにリスクが大きい」

拙速な「オープン化計画」

 システム障害が発生したのは各金融機関同士の国内送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」だ。・・・

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