三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

財務省「岸田倒閣」の狡猾な罠

減税迷走で浮上する「陰謀論」

2023年12月号

 財務省は岸田文雄政権の倒閣へ動き出したのか。政局の焦点にまたぞろ古めかしい陰謀論が浮上している。内閣支持率が各社調査で軒並み二〇%台に落ち込み、不支持率は増える一方。信頼を失ったきっかけは、減税策の迷走と副財務相の税金滞納不祥事だ。
 政策作りも納税情報の管理も、権限を握るのは財務省。政権の足を引っ張る効果的なダブルパンチが同時に繰り出されたのは偶然とは思えない。そんな芸当ができるのは財務官僚だけだ。さては連中、また何か企んでいるのか……という疑心暗鬼である。疑念が広がる土壌を作ったのは、二月刊行の『安倍晋三 回顧録』で語られていた異様な財務省批判だろう。
 二〇一四年十一月、安倍氏は消費税一〇%への引き上げを一年半延期し、「重い決断の信を問う」と衆院解散を表明した。首相が増税を打ち消すサプライズで国民の支持を高め、解散に打って出ようとする。まさに岸田氏が狙っていた一手だ。ところが安倍氏は当時、財務省が邪魔したという。同書の陰謀論を紹介しよう。
「財務官僚は、麻生(太郎副総理兼財務相)さんによる(引き上げ先送り反対の)説得とい・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます