「格差」に怒らない若者たち
吉川 徹(大阪大学大学院教授)
2023年12月号
―岸田文雄内閣の支持率が低迷していますが、政権交代という機運は見られません。原因はなんでしょう。
吉川 現役の若い低所得者層が声を上げなくなってしまった。他国であれば大規模なデモが起きたり、ともすれば政権がひっくり返るような事態だが、日本では「弱者」がすっかりおとなしくなった。働いてそれなりの報酬をもらっている「上層」が現状の格差を肯定するだけでなく、「下層」の人たちはその意見に追随するフォロワーになっている。かつての社会運動を知っている世代からすれば信じられない。
―岸田政権も、そういう環境を理解していますか。
吉川 安倍晋三、菅義偉政権であった強いイメージがないため、防衛費を増やしても保守層の支持率も伸びず、フニャフニャと支持率が下がっている。しかし、安倍政権などでこの国に広がった「新自由主義」の空気について岸田首相は理解しており、その象徴が今回の定額減税・給付ではないか。四万円の一律減税は、納税者全員が同じ額・・・
吉川 現役の若い低所得者層が声を上げなくなってしまった。他国であれば大規模なデモが起きたり、ともすれば政権がひっくり返るような事態だが、日本では「弱者」がすっかりおとなしくなった。働いてそれなりの報酬をもらっている「上層」が現状の格差を肯定するだけでなく、「下層」の人たちはその意見に追随するフォロワーになっている。かつての社会運動を知っている世代からすれば信じられない。
―岸田政権も、そういう環境を理解していますか。
吉川 安倍晋三、菅義偉政権であった強いイメージがないため、防衛費を増やしても保守層の支持率も伸びず、フニャフニャと支持率が下がっている。しかし、安倍政権などでこの国に広がった「新自由主義」の空気について岸田首相は理解しており、その象徴が今回の定額減税・給付ではないか。四万円の一律減税は、納税者全員が同じ額・・・