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欧州はウクライナを裏切る

「嘘まみれ」口先支援のその先

2024年1月号

 新たな年を迎えても欧州にとって最大の課題がウクライナ戦争であることは変わらない。共にウクライナを支えてきた米国の関与低下が危ぶまれるなか、欧州連合(EU)は「必要な限り支援を続ける」と強調する。だが、そうした口上をウクライナはどこまで信用できるのか。EUはロシア寄りの姿勢を隠そうとしないハンガリーに翻弄されているが、真に懸念すべきは親ウクライナ派であるはずの「身内」からの裏切りだ。
 二〇二三年十二月十四日、EUは年内最後の首脳会議で、ウクライナの加盟に向けた交渉開始で合意した。「ウクライナの勝利。欧州全体の勝利だ」。ウクライナのゼレンスキー大統領はこの決定をそう歓迎した。EU首脳らも「ウクライナ支持の強い意志を示した」(ショルツ独首相)と自賛した。だが、実際に勝利したのはオルバン氏のほうだ。 
 ウクライナの加盟交渉入りを巡っては暗雲が漂っていた。会議前、ハンガリーのオルバン首相が強硬に反対し、全会一致が求められる合意を阻む意向を示していたためだ。首脳会議ではそのオルバン氏が退席し、事実上拒否権を放棄した。表向きはウクライナへの支援を求めるほかのEU加盟国の圧力・・・

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