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経済

《クローズ・アップ》橋本 英二(日本製鉄社長)

超大型買収で米国に挑む「武闘派」

2024年1月号

 日本製鉄が米鉄鋼大手のUSスチールを二兆円以上で買収すると発表した。日本の経済界の度肝を抜いた久々の超大型買収案件だ。
 USスチールは二〇二三年夏頃から身売りが噂されてきた。米報道では有力な買い手候補として欧州鉄鋼大手のアルセロール・ミタルやカナダ鉄鋼大手のステルコ、米クリーブランド・クリフスなどの名前が挙げられていたが、日本製鉄の名はなかった。
 そのダークホースが最終的にクリフスの二倍近いとされる二兆円超を提示し、一気にまくった。
 決断したのが日本製鉄を二〇一九年から率いる社長の橋本英二だ。
「直言型」「無理難題を言うパワハラ型」「豪放磊落の武闘派」「実行力が半端ない」。社員の橋本評だ。過去にはあまりの直言癖が災いし、上司に疎まれ何度か左遷された。官僚タイプの大企業幹部とは真逆のキャラクターだ。
 社長就任翌年の二〇年には早速、旧日鉄日新製鋼の主力製鉄所だった呉製鉄所(現・瀬戸内製鉄所呉地区)の閉鎖を決断し、業界を震撼させた。高炉の休止だけでも大ニュースなのに、製鉄所ごとの閉鎖なのだから地元の反発はすさまじかった。
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