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経済

ダイハツ不正「トヨタの大罪」

第三者委が隠蔽した「章男の責任」

2024年1月号

「個社ではなく、グループ全体の問題として私がガバナンスの主担当としてやる」。二〇二三年四月、トヨタ自動車の完全子会社のダイハツ工業で判明した新車認証試験の不正問題。トヨタの豊田章男会長は「今回の車には『トヨタ』の名が刻まれている」として会見を開き、威勢の良さを見せた。ところが十二月二十日、不正の大幅拡大が判明した会見の場に本人はいなかった―。
 ダイハツの不正は二三年四~五月に判明した六車種から六十四車種、百七十四件に広がり、国内では全車種が出荷停止となる事態に発展した。だが第三者委員会、ダイハツが順に約二時間半開いた会見では、ダイハツだけが悪者とされた。普段は絶大な権力をふるう割に、いざ不祥事となると「子会社のせい」と逃げる。トヨタと章男氏の醜悪さは、もはや親会社の管理責任の域を超え、末期的な企業統治を現している。
 ダイハツは新車の認証を得るための衝突試験や排ガス・燃費試験での不正、装置の不正な加工や交換、試験速度の改ざんなどをしていた。酷い事例ではエアバッグの試験で、衝突時の作動をセンサーで検知すべきところをタイマーで行っていた。ただリコールに結び付きそうなの・・・

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