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経済

《地方金融の研究》はばたき信用組合

合併で抱えた「三つのリスク」

2024年1月号

 信組過剰―新潟県はかねてこう呼ばれてきた。全国の信用組合の数は百四十五。うち二〇二三年十月まで、県内には十もの信組が犇めき合っていた。無論、県土の広さもあろう。ただ日本で北海道に次ぐ面積(一万五千二百八十平方キロメートル)を持つ岩手県は域内信組わずかに二。新潟県(面積一万二千五百八十平方キロメートル)の過密ぶりは鮮明だ。
 その新潟の信組数が同年十一月、一気に二つ減った。三つの信組が合併したためだ。しかも実態はともかく形式的には対等合併。まるで信組界のみずほ―業界関係者の間では揶揄と皮肉交じりにこんなジョークも飛び交う。
 新潟市に本店を置くはばたき信用組合、新潟鉄道信用組合と三条市が本拠の三條信用組合の三信組で、合併後の新名称は「はばたき信用組合」。本店・本部も合併と同時期に竣工した旧はばたき信組の新本店・本部に置き、新理事長も旧はばたきの宇野勝雄理事長が横滑りの形で就任した。形式は「対等」でも要は「はばたき主導」を明確化したわけで、そこがみずほとの決定的な違いか。
 その点は合併前の三信組の規模を比較すると当然といえば当然の帰結だろう。旧はばたき信組・・・

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