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経済

《地方金融の研究》八十二銀行

長野銀行「解体処理」の冷酷

2024年2月号

「『経営統合』という名の下で断行される一種の破綻処理。『解体ショー』を見せつけられているかのようだ」。地銀関係者の間からはこんな〝悲痛〟の声すら漏れてくる。
 2022年9月に経営統合で基本合意した長野県地盤の八十二銀行と長野銀行。23年6月には八十二銀が株式交換で長野銀を完全子会社化。現在、26年1月1日付での両行合併とシステム統合に向けて成長戦略や対顧客サービス向上策、相乗効果の早期創出策策定などの作業が進む。
 そんな中、八十二銀が昨年暮れに打ち出した合併に伴う店舗再編・合理化計画が地銀界にちょっとした衝撃を与えている。長野銀の営業拠点の大半が廃止・閉鎖に追いやられる筋書きとなっているためだ。
 合併は八十二銀を存続会社とし、長野銀を消滅会社とする吸収合併方式。基幹システムも八十二銀に一本化する形で行われる。八十二銀の総資産約13兆円、貸出金残高約6兆円に対し、長野銀はそれぞれ約1.2兆円、約6500億円にとどまり、両行の規模の格差は圧倒的だ。資本の論理もある。
 とはいえ今回の経営統合はそもそも「こちらから申し入れた」ことを八十二銀の松下・・・