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ウクライナ政権と軍部の内紛激化

事態は一段と「ロシア有利」に

2024年2月号

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権内で、ウクライナ軍幹部と政権幹部の暗闘が拡大している。背景には、ロシア軍の頑強な抵抗で戦線が膠着していることがある。ウクライナ軍幹部たちが「50万人規模のウクライナ軍増強」を求めるのに対して、政治指導部は「不可能だ」として応じていない。
 戦線が膠着する中で、ウクライナ政府内では、「政権中枢にロシアのスパイがいる」という犯人捜しや非難合戦も始まった。昨年9月に就任したルステム・ウメロフ国防相には、「米国のスパイ」という非難が投げつけられている。
 ウクライナにとって、国土の相当部分を失った状況を変えるのは難しい。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、3月のロシア大統領選や11月の米大統領選をにらみながら、「ロシアの勝利」を宣言する時期を探っている。

大統領と総司令官が対立

 まず最前線の戦況を紹介しよう。目下のところ、戦場はほぼウクライナ国内に限られ、ロシア軍はウクライナ国土の2割弱を占領した状態が続いている。緩衝地帯を除くと、この占・・・