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中国経済統計「捏造」の新次元

真実は想像以上に深刻

2024年2月号

 習近平政権が中国共産党の悪弊である経済統計の捏造に再び手を染めている。どこまで落ち込むか見通せない経済悪化の実態を取り繕うことで、急拡大する外資の中国撤退と国内からの資本流出を抑制する狙いだ。だが、「不都合なデータの統計対象からの除外」などインチキ統計の手法は内外に知れ渡っており、むしろ習政権への不信を増幅する結果になっている。今後、中国の経済統計と現実との乖離はますます広がり、適切な経済政策の妨げになってくる恐れもあるだろう。
「5.2%成長? どこの国の話だ」。1月17日、中国国家統計局が発表した昨年の国内総生産(GDP)の実質伸び率に世界は唖然とした。政府目標の5%に近づけることは予想されていたが、国民の感じる景気実態が土砂降りどころか氷河期に近い中で、目標の超過達成は「悪い冗談を通り越して、不気味」(日本企業の中国駐在員)だからだ。
 今世紀に入って中国が年率10%前後の高成長を続けている時期にも「中国経済統計の嘘」は盛んに指摘されていた。昨年10月に謎の急死を遂げた李克強前首相は2004~07年に遼寧省のトップである党委書記を務めていた時代に省内の下級行・・・