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社会・文化

「能登人災」 石川県の悪政

弛んだ保守王国と共犯「北國新聞」

2024年2月号

 保守王国には、急激な変化を嫌う気質がある。2024年元日の能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県も、その一つだ。江戸時代は「加賀百万石」として外様大名の中でも特別な地位を維持し、先の大戦でも焦土と化すことはなく、戦後は能登出身の衆議院議長・益谷秀次、加賀出身の総理大臣・森喜朗ら自民党の大物政治家を輩出、県民はシェア6割の北國新聞の保守的論調に慣れきっている。この安定感と風土が、未曽有の自然災害では仇となった。
 ここで言う能登、加賀は、旧令制国の呼称で、概ね、石川県羽咋市以北の地域が能登地方である。今回、能登の被災状況の把握に時間がかかっているのは、海に突き出た半島という地理的条件に加え、県の対応の遅れという「人災」を指摘する見方もある。批判の矛先は県だけでなく、地元メディアにも向きつつある。

二代の多選知事の罪

 各地の避難所では、厳しい状況が続く。炊き出しが組織的に行われていない避難所もあり、水道が復旧しないまま自宅にも戻れず二次避難もできない被災者が残されている。地域の公立学校や公民館に設け・・・