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金正恩が策謀する「岸田籠絡」

拉致問題「首脳交渉」の甘い誘惑

2024年2月号

 昨年末、日本政府関係者が大手メディアの関係者から相談を持ちかけられた。「宋日昊(朝日国交正常化交渉担当大使)が外務省と話をしたがっている」。このメディア関係者は「北朝鮮と日本のパイプ役」を自任していた。この話を聞いた別の日本政府関係者は「日朝交渉の経験が豊富な宋日昊なら、直接外務省に連絡できるはずだ。なぜ、こんな回りくどい真似をするのか」と不審に感じたという。
 宋日昊氏は2022年9月、日朝平壌宣言から20年を迎えるにあたり、「日本人拉致問題は解決済み」という談話を出している。23年春には東南アジアで二度にわたり、日朝の当局者が接触したが、北朝鮮が拉致問題の解決を要求した日本側の強硬な姿勢に反発し、物別れに終わっていた。
 この接触は、北村滋内閣情報官(当時)が18年夏にベトナムで朝鮮労働党統一戦線部の関係者と協議したルートを使ったと言われている。日本政府内では「(北村氏の出身母体の)警察官僚が拉致問題の解決を焦ったため、接触が発展しなかった」という声も出ていた。
 そんな状況下で、真意がはっきりしなかった「宋日昊のラブコール」が再び注目されたのが、1・・・