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経済

北越と大王「紙戦争」の新局面

井川家の主役は「大王海運」

2024年2月号

「北越コーポレーションの発表内容が当社の名誉・信用を毀損する」「(北越の岸本晢夫社長CEOは)自己保身を図っている」「同氏(岸本氏)による独裁体制」。東証プライム上場の製紙大手、北越コーポレーションの岸本社長を強い口調で糾弾するリリースが出たのは昨年12月25日のことだった。岸本社長にはとんだクリスマスプレゼントだったろう。
 リリースを出したのは愛媛県四国中央市にある大王海運。海上運送事業や港湾運送事業を生業とし、特に製紙原材料や紙製品の輸出入、輸送を手がけてきた会社だ。実質的なオーナーは井川俊高氏。「大王」と「井川」といえば、もうお分かりだろう。100億円あまりもの会社のカネをカジノに注ぎ込み、特別背任容疑で逮捕された大王製紙の井川意高元社長の叔父が俊高氏だ。つまり大王製紙の創業一族の一人であり、一時期は大王製紙会長も務めた御仁である。そんな俊高氏率いる大王海運は、大王製紙の株を約五%保有している。
 なぜ大王海運は北越の岸本社長に噛みついたのか。
 その3日前の12月22日、北越コーポは突然、有事型買収防衛策の導入を発表した。いつなんどき、危険な買収・・・

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