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北朝鮮を蝕む毒素「市場経済」

新興富裕層が体制の不安要因に

2024年3月号

 20×10。北朝鮮メディアで最近、この表現を見聞きしない日はない。全国で約170ある北朝鮮の地方自治体に対し、今後10年間、毎年20の地域で工場や生産施設を建設し、地方の生活水準を引き上げるという「地方発展20×10政策」のことだ。金正恩総書記が一月の最高人民会議で突然、発表した。
 確かに、北朝鮮の地方都市の生活ぶりは悲惨だ。金正恩氏が「地方の人民に基礎食品、食料品、消費財などの初歩的な生活必需品すら満足に提供されていない」と認めるほどだ。北朝鮮の地方出身の脱北者は「中国に逃れて、エレベーターやエスカレーター、自動ドアを初めて見た」と語る。
 北朝鮮の元党員は「北朝鮮には地方税がないうえ、党は平壌第一主義で運営するため、地方自治体は予算がない。だから、街は荒れ放題で全く発展しようがない」と説明する。
 北朝鮮は最近、ウクライナ戦争特需に沸いている。ロシアに砲弾百万発や弾道ミサイルなどを売り、代わりに発電機や機械類などを輸入している。金正恩氏らは、全国の地方都市に工場を建設できるメドが立ったと考えているのだろう。
 しか・・・