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経済

《地方金融の研究》足立成和信用金庫

「東榮合併」都内業界再編の号砲

2024年4月号

 実現すればおよそ19年ぶりという画期となる。東京都内に本店を置く信用金庫同士の合併だ。
 足立区千住を本拠とする足立成和信用金庫と葛飾区新小岩が地盤の東榮信用金庫が、2025年10月をメドとした合併で今年3月合意した。合併比率1対1の対等合併だが、手続き上、足立成和が存続信金となる。
 何しろ都内で「最後」の信金再編が行われたのは06年1月に遡る。多摩中央信用金庫、八王子信用金庫と太平信用金庫の三金庫合併で誕生した「多摩信用金庫」(本店・立川市)がそれ。超低金利の長期化による経営環境の悪化などから地域金融機関の再編の必要性がしきりと喧伝されながらも、以来、都内の信金業界は長く「無風」が続いてきたわけだ。
 それだけに久々の再編劇に業界関係者からは「『金利のある世界』もようやく戻ってきた。中下位信金を軸に今後、合従連衡を模索する機運が高まるのでは」との観測も漏れる。金融筋の一人も「金利復活で融資競争が激化するのは必至。人口減少の逆風にはまださらされていないとはいえ、貸出金の原資となる預金量が一兆円未満の信金は単独での生き残りが難しくなる」として近い将来の〝・・・

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