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政治

国会は権力闘争の「劇場」であれ

向大野 新治(前衆議院事務総長)

2024年4月号

 ―最近の国会についてどう考えていますか。
 向大野
 「派閥裏ガネ問題」を巡る与野党のやりとりが重要か否かはともかく、何もしない野党というのは埋没してしまうので、岸田文雄首相を批判し予算成立に一生懸命抵抗するという方法論は間違っていない。たとえば自分の支持者が反対している法案の場合、採決で起立せずに反対するだけでは、熱意は伝わらない。できるだけ激しい反対行動を見せて初めて、支持者たちに伝わる。国会というのは一種の「劇場」なので、野党であれば予算成立阻止のための行動で自らを観客にアピールしなければならない。

 ―「予定調和」は白けませんか。
 向大野
 そこまで国民は意識していないだろう。野党がコアなファンに向けてパフォーマンスを見せるためには、予算成立を駆け引き材料に使う必要がある。その攻防があったからこそ、岸田首相が衆議院の政治倫理審査会に出るというひとつの結果に繋がった。
 ―目に見える具体的な成果はありませんでした。
 向大野 首相が出てくることが重要だ・・・

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