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経済

日本も「サハリン2」から撤退せよ

三井と三菱「媚ロシア商売」の引き際

2024年5月号

 1年9カ月の時間は何を変えたのか―。ウクライナ危機勃発時の経済産業相・萩生田光一は、米国の晴れ舞台でこう見得を切っていた。
「サハリン2から撤退はしない。(米国政府の)理解は得られたと思っている」
 三井物産、三菱商事が出資する極東ロシアのLNG(液化天然ガス)開発プロジェクト「サハリン2」―。ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは2022年6月、その事業主体をロシア法人化する大統領令に署名、2商社の権益の行方が危ぶまれていた。年600万トンのサハリンLNGの輸入が万一途絶えれば、日本は大規模停電に陥りかねない。ロシア法人へ移行後も2商社の権益維持は緊要だが、米国の同意を得られるか。
 同年7月29日、訪米した萩生田は日米の初の経済版2プラス2(外務・経済閣僚協議)に臨んだあと、首都ワシントンで記者会見し、満悦の表情を見せたのである。その発言はエネルギーの安定供給を守った自尊心の表れ、さらに三井物産、三菱商事に対し、「撤退は許さない!」という牽制でもあっただろう。が、それから1年9カ月……。
「もはやサハリン2は&ld・・・

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