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英国「社会インフラ」で進む崩壊

想像超す「国家的貧困」の表れ

2024年5月号

英国が社会資本の劣化に苦しんでいる。経済成長率こそ、G7(先進七カ国)の中で上位につけるのに、舗装された道路や橋、鉄道など、国内に張り巡らされた社会資本網は、数十年前に敷設されたものから変わっていない。道路の大穴で事故を起こしたり、車が破損したりするケースも増えている。リシ・スナク英首相は、英国のインフラを「レベル・アップ(底上げ)する」として、大幅改善を公約している。
英国で交通インフラを語る時、多用される言葉が「ポットホール(穴)」である。
舗装道にぽっかり開いた穴で、タイヤのパンクや事故につながりかねないほどのものが多い。大半は放置されるので、時と共に広がり、かつ深まる一方だ。
英国のアスファルト業界団体は今年、「英国中で200万カ所以上を修理しなければならない」と発表した。少なくともこれだけの数の穴を把握しているということで、実数はさらに多いだろう。大半は直径1メートル近くあり、人身事故や自動車の破損も起きている。
ある邦人企業の英国在住者は、「ハイウェーでさえ1マイル(1・6キロメートル)も走ると、3つから6つの穴に出くわす。怖いだけで・・・

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