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中南米恒例「悪党の亡命」に異変

エクアドル「掟破り」の衝撃

2024年5月号

黒ずくめの制服に身を包み、自動小銃を構えた警察特殊部隊員が白い塀を乗り越え、扉を破った警官隊が建物内になだれ込む。抵抗する館員らを制圧すると、目標だった普段着姿の中年男性の足と手を抱え上げ、宙づり状態にして連れ去った―。4月5日夜、エクアドルの首都キトにあるメキシコ大使館で行われたのは、外交舞台で近年類を見ない蛮行だった。報道陣の前で行われた一連の行為を捉えた写真や映像は瞬く間に世界に拡散。船出して半年に満たない若き右派ノボア大統領(36)の国際的な評判をおとしめ、窮地に追いやろうとしている。
連行されたのは、昨年12月17日に同大使館に亡命を求めて駆け込んだエクアドルのホルヘ・グラス元副大統領(54)だ。同氏は2013年から18年まで、反米左派コレア氏と、その後継者だったモレノ氏に副大統領として仕え、特にコレア氏と親しかったことで知られる。
しかし、権力の座を降りた中南米の指導者のご多分にもれず、退任後は汚職の罪を問われることに。ブラジルのゼネコン旧オデブレヒト社からの収賄など2件の汚職で禁錮刑を受けた。22年に釈放されたが、16年の地震の際に集めた支援基金を流用・・・

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