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ベトナムを掻き乱す中国

政争続発が示す「脱日米路線」

2024年5月号

米中冷戦の激化を受けた米欧日韓など製造業の「脱中国」の追い風を受けるベトナムだが、成長を失速させかねない深刻な政治闘争が進行している。3月にボー・バン・トゥオン国家主席が突然、解任された。同氏は昨年1月に更迭されたグエン・スアン・フック氏の後任で、2年続きでナンバー2の国家主席が失脚した。急速な市場経済化を警戒するグエン・フー・チョン共産党書記長ら保守派が中国との関係改善を進め、中国の経済力を背景に市場経済派の政敵を潰す動きといえる。政治の緊密化と並行して中国企業の対越投資も活発化しており、ベトナムが政治経済両面で、米中冷戦の主戦場になりつつある。
3月20日のトゥオン主席更迭の発表文は、14カ月前のフック主席解任の発表文と固有名詞を入れ替えただけの既視感の強いものだった。フック主席解任は2週間前に二人の副首相が更迭されていたことから予感を持っていた人も少なくなかったが、トゥオン主席解任はベトナムの内情に詳しい人にとっても「寝耳に水」だった。

政敵抹殺の背後に習近平

ベトナムの権力中枢で何が起きてい・・・

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