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経済

リニアは「2034年開通」も絶望

川勝問題より深刻な「工事遅延」

2024年5月号

「これで進捗の遅れを静岡県のせいにできなくなる。JR東海だけでなく、ゼネコンも困ったことになるだろう」
スーパーゼネコンの一角を占める大成建設の幹部の一人はこう漏らした。静岡県の川勝平太知事が突如として辞意を表明したのが4月2日。当初は6月の県議会終了後としていた辞任時期は前倒しになり、早くも4月10日には辞職願を提出した。リニア中央新幹線のルート上で、唯一工事認可が下りていなかった静岡県の川勝知事が辞めたことでプロジェクトの障害が減ることは間違いない。しかしハードルは静岡県だけだったのか。今後、「川勝」という言い訳が使えなくなることで、隠れていた問題が浮き彫りになる。

南アルプストンネルの「遅延」

JR東海が東京~名古屋間のリニア開業時期について、2027年という計画を正式に断念したのは3月29日。この直後に川勝氏が辞めたことで「リニア計画を遅らせたことを成果のように誇っている」という批判が近隣自治体から出た。しかし、川勝氏の動向とは無関係にすでに延期は確定的だった。
「リニア・ルート上・・・

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